僕はとにかく暑さに弱いです。
まあ、寒いのも苦手なんですけど、暑さはパフォーマンスも落ちるし体調も悪くなるし、苦手というよりダメ。
気温の暑さも、湿度の暑さも、日差しの暑さもダメ。
- 全然ペースが上がらない
- すぐに息が上がってバテる
- 長時間、長距離走れなくなる
- 胃腸がやられて食べられなくなる
- ランの疲労が残りやすくなる
こういう症状になってしまいます。
でも、こういった「暑さに弱い」ってランナーなら誰でも当てはまるんじゃないでしょうか?中には暑さに全然強い人もいるけど、基本的にはパフォーマンスが落ちるものです。
今回は、暑さに弱い僕の経験を踏まえた「夏の暑さ対策(ランニングで暑さにバテない方法)」をご紹介します。
暑さに弱いからこそいろいろ工夫してます。ぜひご参考にしてみてください。
ランニングで熱中症になるとどうなるか?
ランニングやマラソンで暑さはどう影響するのか?そして熱中症になるとどうなるのか?
順を追って説明します。
パフォーマンスが落ちる
まずはパフォーマンスが落ちます。
パフォーマンスが落ちるとは「いつもどおりに走っているのに全然ペースがあがらない」といった状態。
僕の例を紹介します。
ペースや心拍など意識しないで自由気まままに10kmを走ったときに、以下のような違いとなります。
- 夏:キロ6分~6分半くらい
- 冬:キロ5分~5分15秒くらい
同じような心持ちで走っても、夏と冬でここまでペースに差が出ます。たぶんこのときの心拍ってどちらも「150~160」くらい。それほど夏の暑さはパフォーマンスが落ちるんです。
ゆっくりなのにとにかく息があがる
暑さでパフォーマンスが落ちると、ゆっくり走っていてもとにかく息があがります。これが暑さでやられた第二段階でしょうか。
キロ7分とかで走っていても、とにかくハアハアして苦しい。これって、身体が暑さで疲れてしまっていて、疲労をコントロールできなくなっている状態です。
夏のランニングやマラソンでは、この第二段階になる前に対策したいです。
気持ち悪くなり水や補給食を受け付けなくなる
暑さは疲労となり、胃腸の機能を低下させます。水や補給食を食べたい気分になれない、食べようとすると気持ち悪くなるといった状態です。
10km以内の短い距離ならいいですが、フルマラソンやウルトラマラソンなどの長距離を走る時に、水や補給を摂取できなくなるのは致命的です。
特に元から胃腸の弱い人は、暑さで胃腸をすぐにやられるので、その状態にならないように注意が必要です。
頭が痛くなる、クラクラめまいがする
頭痛やクラクラするなどの症状が出てきたら、それはもう軽い熱中症状態です。
熱中症のタチが悪いのは、走るのをやめて身体を冷やしたり水分補給したり安静にしても、その日1日は身体が熱くなるようなダルさが解消しないところにあります。ヘタすれば2,3日残るし、重症になれば命の危険もあります。
めまいで立てなくなる
めまいで立てなくなったら赤信号!
そこからいくら水を飲んでも回復しません。
夏のマラソン大会や、春秋でも急に暑くなった大会で倒れ込む人は結構います。2018年の前橋渋川シティマラソンでは、4月24日という日にちにもかかわらず、最高気温が30度を超える厳しい暑さとなり、16人のランナーが救急搬送される事態となりました。
さきほど言ったとおり、熱中症の怖さはひどくなってから回復しない・回復に時間がかかるところにあります。
早め早めの対策、早めのリタイア(やめる勇気)が必要です。
夏のランニングのメリット・デメリット
なぜ危険性のある夏に走るのか?そんな時期は走らなくてもいいんじゃないの?と、走らない人は思うかもしれませんね。
でも、市民ランナーでもランナーはランナー。暑い夏でも走りたい衝動に駆られるし、暑い中汗びっしょりかいて走るとスッキリするものです。
暑さに強くなる
暑い中のランに慣れることで、ある程度は暑さに強くなります。
「ある程度」といったのは、完全には暑さに慣れて体は強くならないこと。
暑さの中上手に訓練すれば前より速く走れるようになるし、うまく対策すればバテるまでの時間を伸ばすことは可能です。
これはラン経験が豊富な人ならあるあるかと思いますが、夏の暑い時期に走り込むことで、季節が秋冬になり涼しくなった時に、自分でも驚くほどハイペースをラクに走れるようになります。
これが夏のランを経験することによる一番のメリットですね。
疲労が長く溜まりやすい
デメリットとしては「疲労が長く溜まりやすい」ということがあります。
長いというのは年レベルの話で、夏の調整に失敗すると疲労を溜めてしまうと、その疲れが秋冬のシーズンにも残ってしまいます。この暑さによる蓄積の疲れは厄介で、1日2日休んでも、1週間2週間ランニングを減らしても解消されるものではありません。
市民ランナーが真夏にしっかり走り込んだのに、秋冬に思ったようにタイムが伸びないのは、夏の疲労が原因です。
真夏のランニングの目的は疲労を溜めずに暑さになれること。
実業団のトップランナーだけではなく、僕たち市民ランナーでも、疲労は徐々に蓄積していくものです。上手に疲労をとらないと、たまった疲労がケガやパフォーマンスの低下につながってしまうので注意が必要です。
ランニングの暑さ対策
暑い中で走ることの危険性がわかったところで、ランニングの暑さ対策をご紹介します。
トレーニングで強くするわけではなく、グッズやケアを上手に取り入れながら暑さと上手く付き合う工夫をしましょう。
水分補給は少ない量をこまめに
走っているときの水分補給は「少ない量をこまめに」が基本です。
一度に大量の水分を飲んでも全て吸収されるわけではありません。特に暑さで胃腸の機能が低下しているときは吸収率も悪くなります。
飲むものは、水分と一緒にミネラル・アミノ酸・クエン酸などが摂取できるスポートドリンクが理想です。
固形物を食べるようにする
胃腸の機能が低下すると固形物を避けがちになるのですが、ランのときに水分やジェルタイプの補給食だけもあまりよくありません。胃腸が動かず機能低下に拍車をかけてしまうからです。
固形物といっても消化がよくエネルギーに変わりやすいもの。たとえばアンパンやスポーツ羊羹などが理想ですね。
フルマラソンやウルトラマラソン、練習でのロング走など長丁場になるときは、固形物も少しずつ摂取して、胃腸を適度に動かしながらエネルギー補給するようにしましょう。
かぶり水は必ずかぶる
夏の大会などでは、給水所に「かぶり水」が出てることがあります。暑さバテしそうなときはかぶり水も必ず利用しましょう。
- 後頭部から頭にかけてかけてもらう
- キャップがあればキャップも濡らしてもらう
- 暑い日は体にもかけてもらう
かぶり水をかぶる目的は2つあります。
- 頭(後頭部)、腕、体を直接冷やす
- キャップやTシャツを濡らして気化熱を助ける
1番はわかりやすいですね。直接水をかけて冷やします。
実は2番も重要。
走っているとき、人は必ず汗をかきます。めちゃくちゃ寒い冬でも走っているときは汗をかいて、その汗が蒸発するときの気化熱で体を冷やしているんです。
走っていて全然汗かかないよ?という人もいますが、それは汗が出るそばから蒸発しているので目立たないだけです。もちろん、人によって汗をかきやすい・かきにくいはありますが、基本は誰でも汗をかきます。
かぶり水でキャップやTシャツを濡らすことで、汗の役割を助けます。ただでさえ夏の暑い中では汗がでまくって体は消耗しているので、かぶり水による気化熱は体の消耗を抑えてくれます。
ちなみに、
かぶり水で注意して欲しい点が2つあります。
- 顔だけを冷やす
- 脚に冷たい水をかける
頭に近い部分しか冷やさないと、脳が「体全体が冷えてきた」と勘違いしてしまい、汗を発散して体温を下げる働きを弱める可能性があるからです。
また、長い距離走っている脚は筋肉が極度に緊張している状態です。特に初心者ランナーは脚がパンパンに緊張していることが多く、そこに冷たい水をかけると筋肉が一気に萎縮して脚の筋肉が攣ってしまう可能性があるからです。
無駄に露出を増やさない
暑さで体力を奪われるのは気温や湿度だけではありません。
強烈な日差しによる日焼けも体力を大きく消耗させます。
暑い日はとにかく薄着になりたいですよね。ランパン・Tシャツ、Tシャツでも暑いとノースリーブなど。腕も肩も全開で走りたくなりますが、フルマラソンやウルトラマラソンの時は要注意。
日差しによる日焼けも体力を奪うので、後半のバテ・疲労・胃腸の機能低下を引き起こすんです。
一番焼けやすい部分は「頭(後頭部含む)・顔・肩・腕・ふくらはぎ」なので、せめて頭・肩・腕は守るようにしましょう。
暑さや体力に自信がないランナーは真夏でもTシャツ。そしてできることならアームスリーブ(アームカバー)などで腕も守れば完璧です。
サンバイザーではなくキャップをかぶる
ランニングキャップが似合わない問題を抱える僕としては、キャップをかぶるのはものすごく抵抗があるのですが・・・
夏場の日差しの中でサンバイザーはダメです。脳天がめちゃくちゃ焼けるんですよね。ウルトラマラソンの後は脳天も軽くヒリヒリするくらいですよ。
実際問題、直射日光を頭に受ければ熱中症にもなりやすいし、あまりいいことはありません。似合わないのは仕方ないとして、日差しが強くて長時間走るようなときはできるだけランニングキャップをかぶるようにしましょう。
日除け付きキャップなどで後頭部を守る
ランニングキャップをかぶるなら、シェード付き(日除け付き)のランニングキャップが理想です。
走っている最中は後頭部から首筋にかけて日差しを浴びるので、そこを守ることで熱中症・熱射病のリスクを下げてくれます。
長時間の練習ラン、タイムのかかるフルマラソン、ウルトラマラソンではおすすめのアイテムですよ。
ネッククーラーなどで冷やす
ネッククーラーやクールタオルなどで冷やしながら走るのも効果的。
なぜ首を守るのか?首を冷やすのか?というと
- 後頭部を日差しから守る
- 血液を冷やして熱中症を回避
という効果が期待できるからです。
特に2が結構重要です。
首には「頸動脈」という太い血管があるのはみなさんもご存知かと思います。熱中症や熱くなったときに、太い血管が通る脇や首を冷やして「血液を冷やす」ことが大事。それで熱くなった体全体が冷えていくからです。
長時間の練習ランなら公園などの水道、マラソン大会だったら給水所の水などでネッククーラーを濡らして首に巻くようにしましょう。暑さによる体の疲れが全然違いますよ。
塩熱サプリなどで電解質補給する
汗とともに排出されるのが塩分やミネラル。
長時間の運動で大量に水分を補給して汗として塩分が排出されると、体内の塩分濃度はかなり薄まります。塩分濃度の薄まりによるカリウム不足は、熱中症や脚の攣りにもつながります。
そのため、夏場の長時間ランニングでは塩分補給やミネラル摂取も不可欠です。
塩分やミネラル補給には飴やサプリがありますが、個人的には、電解質が補給できる「塩熱サプリ」がおすすめです。
- 飴のようにベタベタしてなくて食べやすい
- 喉が渇かなくて美味しい
- 暑い中でも飴のように溶けない
- 吸収率がよい
という特徴があります。美味しさもあるので、ランニング中の気分転換にもなりおすすめですよ!
夏の暑さ対策のまとめ
ここまで夏の暑さ対策についてアレコレ考察してきました。
最後にとても大事なことを。
暑さ対策をすることによって、ある程度暑さを回避したり、身体を暑さに慣らせることはできますが、根本的な身体の機能面を変えることはできません。もともとの体質も大いに関係します。暑さに弱い僕が、身を持って長年試した結論だから間違いありません。
元々の身体の強さ、暑さへの強さもあるので、真夏の練習・真夏の大会はとにかく無理をしないこと。暑さに弱い人は、練習量を抑え、疲労をためず、秋冬に備えた方がメリットの方が多いと思います。
- あちぃな~、と言いながら
- 汗をダラダラかいて
- 暑さを楽しめる程度にする
夏はこのくらいの気構えでランニングを楽しみましょう。