久しぶりのシューズレビュー
今回は「ナイキ ヴェイパーフライ3」です。
ランニング界隈だけじゃなく世間も騒がせた厚底シューズ「初代ヴェイパーフライ」の後継シューズとなります。
ヴェイパーフライ3の特徴や履き心地、実際に大会で走った感想などをレビューします。
ヴェイパー3の特徴
ヴェイパーシリーズの特徴は「ワンランク上のスピードを追求する一足」
そのテーマのとおり、ヴェイパー3も「ラクにスピードアップできるシューズ」です。
初心者から一流ランナーまで
ヴェイパー3というと「サブスリー以上の速いランナー向け」「脚ができてないと負担が大きい」といった評判も聞きますが、ナイキ公式の説明では「初心者から一流ランナーまでスピードを必要とするランナーなら誰でもおすすめ」としています。
カーボンファイバー製のプレートによる前方への推進力と、ヴェイパー3の新要素となっている「かかとの膨らみ」によって、足の内側の安定感を出しています。
10kmからフルマラソンでも対応
10kmのような短いスピードレースから、フルマラソンのようなスピード持久力を必要とするレースまで、どちらにも適した対応力があります。
特にフルマラソンでは「ラクにスピードが出せる」という特徴から、体の疲れを軽減させて、終盤での疲れ・落ち込みを防止するといった効果も得られます。
ヴェイパー3の履き心地
初代ヴェイパーに比べて「フィット感がかなり良い」という印象です。
かかと部分の安定感がアップ
ヴェイパー3は、かかと部分の引っ掛かりの部分(写真のオレンジ色の部分)が大きくしっかりとした作りになり、かかとのホールド感が大幅にアップしています。
初代ヴェイパーは、かかとのホールド感が弱く「脱げそうになる」といった感想も多いシューズでしたが、ヴェイパー3はかかと部分のウィークポイントが改善され、履いたときの安心感がアップしています。
アッパー部分のフィット感がアップ
ヴェイパー3のアッパーは、ニット素材となりフィット感がアップしています。ズームフライ フライニットのようにメッシュニットが足の甲を包みこんでホールドする感覚です。また、ベロの部分もアッパーと一体化しています。
フライニットのようなホールド感については賛否が分かれるかもしれません。
初代ヴェイパーのように、靴紐をしっかり締めても何となく隙間があるようで、しっかりホールドされてない感じがした人にとっては、ヴェイパー3のフィット感は気にいるはずです。
逆に、フライニットのようなフィット感が「締め付けられる」と感じる人にとっては少し窮屈に感じるかもしれません。
つま先部分の広さに余裕がある
ヴェイパー3は初代ヴェイパーに比べて、つま先部分の広さに少し余裕があるように感じました。
つま先の感じ方については個人差があるかもしれませんが、初代ヴェイパーはつま先が細く、足の指がキュッとまとまってしまうような感覚で窮屈さがあり、日によっては小指を踏んでしまうことありました。
ヴェイパー3は、極端に足の指がまとまるような感覚はなく、小指を踏んでしまうこともなかったため、初代ヴェイパーよりは指先にゆとりのある作りのようです。
ニット素材による軽さと柔らかさ
軽さは正義!
ヴェイパー3はとにかく軽い。
サイズ25.0cmで、シューズの重さは164.5g
これだけ厚底なのに、この軽さを実現しているのは穴開きニット素材のおかげ。
履いたときの感触も、初代ヴェイパーのときのような硬さはなく、柔らかくフィットする印象です。
ヴェイパー3で走った感想(レビュー)
ここからは、ヴェイパー3を履いて大会を走った感想をまとめます。
安定感があり安心してスピードが出せる
10km、ハーフ、フルマラソンとそれぞれのレースでヴェイパー3を履きましたが、共通して言えるメリットが「安定感があり安心してスピードが出せる」という点です。
重量が軽くソールの厚い厚底シューズは、着地と蹴り出しの安定感が悪いシューズもあります。うまく厚底に乗れず着地も蹴り出しもブレてしまう感覚ですね。
ヴェイパー3は着地と蹴り出しの安定感があります。着地したときのブレがなく真っ直ぐ走ることができるので、安心してスピードを出すことができます。フルマラソンの疲れた終盤でも安定感を維持できる印象でした。
スピード持久力アップの効果を実感
初代ヴェイパーと同じメリットですが、ラクにスピードが出せるということは、体の負担(疲れ)の部分の助けになります。これは特にフルマラソンで効果を発揮します。
フルマラソンで疲れの見え始める中盤から終盤にかけて、他のシューズよりも疲れが遅く現れる印象です。また終盤でのもうひと踏ん張りの体力(持久力)を残してくれます。
長くスピードを維持してくれるシューズです。
次からは「実際に走って感じたデメリット部分」も紹介します。
雨の日だとすぐに足先が濡れる
雨の日のフルマラソンを走って実感したことですが、アッパーが穴開きメッシュ素材なので、雨の日はすぐに足先が濡れて靴下も濡れてしまいます。
まあ雨の日のマラソンだと、遅かれ早かれシューズの中は濡れてしまうのですが、早々に濡れてしまうのは構造上仕方ないかな、と。また穴開きメッシュのため風通しも良く、真冬の早朝ランなどでは足先の寒さをよりダイレクトに感じてしまいます。
フルマラソンに耐えるスピード練習が必要
ヴェイパー3はラクにスピードが出せるシューズです。そのため体の疲れを軽減してくれますが、その分長く頑張れるため、脚への負担は大きくなります。
ヴェイパー3:体が疲れない⇒スピード落ちない⇒脚への負担は続く
僕は2023年のつくばマラソンでヴェイパー3を履きました。大会までの練習はロングジョグ(キロ6分前後で30km)が中心で、短いスピード練習や15km~20kmのレースペース走は全く行わない状態で大会に臨みました。
結果、4年ぶりにサブ3.5を達成できたのですが、レース後の脚の疲労が大きく、2ヶ月くらい腸脛靭帯炎にもなってしまいました。
もちろん僕の走り方の問題、そこまでの練習の負荷・ケアの問題もあるかと思いますが、スピードが維持できるということは、維持できる時間分、脚への負担も大きくなるということです。
そのため、スピードを出したときの負担に慣れるため、大会前の練習でもヴェイパー3を履いて、ある程度スピード練習もこなしておいた方がいいでしょう。
ヴェイパーフライ3のまとめ
ここまでヴェイパーフライ3の特徴や走った時の感想をまとめました。
ヴェイパー3、良く言えば「初代ヴェイパーの進化版。ウィークポイントが改善されたスピードシューズ」です。悪く言うと「初代ヴェイパーとそこまで変わらないかな」といったところでしょうか。
個人的に、履き心地と走った時の安定感はアップした印象です。ただ、初代ヴェイパーの履き心地がよかった人にとっては、ニットのフィット感をどう感じるかな?
- ラクにスピードが出せる
- スピード持久力がアップする
- 厚底だけど安定感もある
- フィット感がアップ
- 真冬や雨の日はメッシュ素材が寒いかも
- スピード練習をこなして慣れておくこと
初代ヴェイパーと同じく、10km・ハーフ・フルマラソンで自己ベスト更新を狙う人に間違いなくおすすめできる一足だと思いますよ。