今回のシューズレビューは「ズームフライ5」です。
厚底ブームの火付け役となった初代ズームフライ。シリーズの流れとしては「ズームフライ⇒ズームフライ3⇒ズームフライ4⇒ズームフライ5」となります。
ズームフライ5の特徴・履き心地・実際に走った感想をまとめました。ズームフライ4と比較しながらレビューをまとめたので、ぜひ比較も参考にしてみてください。
ズームフライ5の特徴
ズームフライ5の特徴をひと言で表すと「ランナーのレベル・好みによって印象の分かれるシューズ」といったところです。
ナイキ公式では以下のような特徴を掲げています。
レースでも練習でも対応
推進力と耐久性に優れ、レース本番はもちろん、レース前後の練習ランでも対応できるシューズです。
ミッドソールに新たに搭載されたZoomXフォームによる推進力で、ズームフライ4よりワンランク上のスピードを実現しています。また、立体的なプレートがスムーズな体重移動と安定性を生み出します。
幅広で長距離ランでの余裕を実現
前足部とヒールの幅がやや広めの設計になっています。足中央部はしっかりとしたホールド感を維持し、前後にゆとりがあることで、発進力の必要なスピードランから、足が浮腫んでくる長距離ランにも対応します。
ズームフライ5の履き心地
ズームフライ5は「ゆとりのある履き心地」が特徴。ズームフライ4のぴったりとしたフィット感とは対照的な履き心地です。
ゆとりのある前足部
ズームフライ5のベロは一体型ではなく独立したセパレートタイプです。ズームフライ4はフライニットようにベロの部分もニットメッシュになった一体型でしたが、ズームフライ5はベロが単独で離れています。
また、ズームフライ5は前足部もゆとりがあるので、履き心地にフリーの余裕があります。
この「余裕」が自由で履き心地が良い感じるか、スカスカすると感じるかは個人差があると思います。ズームフライ4のようにニットのギュッとしたフィット感が窮屈と感じた人にとっては、ズームフライ5は履き心地が良いと感じるでしょう。
かかと部もゆとりがある
ズームフライ5は、かかとの部分にもゆとりがあります。ズームフライ4にあった「かかとを固定するための突起」がなくなり、キュッとしたフィット感はなくなっています。
フィット感はなくなりましたが、かかとが脱げそうになる感覚はありません。とはいえ、スピードを出して走ったときは、やや安心感が薄れる気がします。
アッパー(足の甲)の固定感は良い
前足部もかかともゆとりがあって安定感は大丈夫なの?
という思いを補っているのがアッパーの固定感です。
前足部とかかとのゆとりとは違い、土踏まずからアッパーにかけてはしっかりとした固定感があるので、走っていてブレるような感覚はありません。また、アッパーの固定感もシューレース(靴紐)の強度で調整できるような感じです。
ズームフライ5で走った感想(レビュー)
ここからは、ズームフライ5を実際に履いて走った感想をまとめます。個人的な好みの分かれる部分もありますので、参考の一つとして読んでみてください。
勝手にスピードが出る推進力
ズームフライ5で走ったときの一番の印象が「勝手にスピードが出る!」というものです。
歴代のズームフライシリーズの中で、一番スピードの出しやすいシューズではないでしょうか?・・・いや「スピードが出しやすい」というよりも「勝手にスピードが出る」といった感覚の方が近いです。
ヴェイパーシリーズのような「跳ねるような推進力」ではなく、気づくと勝手にスピードが出てるという感じです。そのため、スピードを求める本番レースや、スピード練習などでは効果を発揮するシューズだと思います。
一方で、勝手にスピードが出てしまうため「今日はゆっくり気ままにジョグしよう」と思って走り出しても、いつの間にかスピードが出て心拍も上がってしまっているなんてことがよく起こります。
また、ズームフライ4と比べると着地の感触はやや硬いです。
使い込んでもヘタレない耐久力
ズームフライ5を2023年3月から使い始めて1年以上経ちます。練習でガンガン使っていますが、推進力が弱まったりヘタったりする感じはありません。
ソールが硬い材質で、厚底部分を守っている作りになっているので、厚底が削れてくるような現象は今のところありません。スピード練習で使い込むには良いシューズだと思います。
スピードを出したときの安定感がイマイチ
個人的に感じたウィークポイントとして、スピードを出したときの安定感がイマイチというのがあります。
これは好みが分かれるのかもしれませんが、記録を狙うレースペースのように速く走るときは、ヴェイパー3やズームフライ4のようなニット素材でぴったりフィットしてくれる方が安定感があります。
逆にズームフライ5のように、前足部とかかとにゆとりがあると、着地から蹴り出しのときにシューズの中で足がズレる(ブレる)ような感覚があって、100%信頼してスピードを預けることができない感じです。
もちろんスピードを維持できないわけじゃないし、実際にブレてるわけでもないと思います。走っていると忘れてしまう程度ですが、感覚として感じてしまう部分です。おそらくズームフライ4のようにキュッとしたフィット感に慣れてしまっている影響もあるでしょう。
路面によっては雨で滑る感覚がある
路面によって、雨で濡れたときに若干滑る感覚があります。
ズルっと滑ってしまうというより、踏ん張りが効かないというか。
通常の道路のアスファルトなら大丈夫なのですが、スタジアムなどの舗装された周回コース(石に近い感覚?)と言えばいいですかね?うまく伝えられないのですが、そういった路面だと、濡れていると踏ん張りが効かずちょっと神経つかいます。
この辺り、ズームフライ4やヴェイパーフライなどは大丈夫。もちろん乾いた路面に比べれば少し走りにくいですが、踏ん張り効かず神経つかうようなことはありません。
ソールの硬い材質が少し滑りやすくなってるのかな?と感じます。
ズームフライ5のまとめ
ここまで、ズームフライ5の特徴・履き心地、実際に履いて走った感想をまとめました。
個人的には「練習である程度スピードを出すランのときに履くシューズ」という位置づけです。スピードは出しやすいし、履いていて窮屈感もない、耐久力もありそうです。レースペース走・しきい値走・タイムトライアル(TT)などに向いています。
一方で、自己ベストを狙う本命レースではやや物足りない感じ。ジョグでもスピードが出過ぎてしまうので、あまりジョグ向きでもありません。
ズームフライ4と比較しても
- スピード:ズームフライ5
- ジョグ:ズームフライ4
- 万能性:ズームフライ4
といった感じで、何にでも対応できる万能力はズームフライ4の方がありそうです。
僕自身は2024年7月現在、ある程度スピードを出したい練習・インターバルやTTをやる場合はズームフライ5、ペースを気にしない気ままランやジョグはズームフライ4という感じで使い分けています。