ネガティブスプリットとは、マラソンを走る時に前半のペースよりも後半のペースの方が速い走り方を言います。反対に、後半のペースよりも前半のペースが速い走り方をポジティブスプリットと言います。
近年のマラソン(特にフルマラソン)では、ネガティブスプリットが有効であると考えられていて、アフリカの選手を中心にフルマラソンで好成績を残すランナーは皆ネガティブスプリットです。市民ランナーにも浸透してきましたね。
でも、僕が考えるネガティブスプリットは一般的な認識とちょっと違います。
というよりも、世界を目指すトップランナーやサブ3ランナーと、サブ3.5~サブ4ランナーでは「ペースのピークを持ってくる距離が違う」と考えてます。
今回は、サブ4を目指すランナー向けのネガティブスプリットの考え方と導入方法について詳しくご紹介します。
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ネガティブスプリットのピークを考える
トップランナー、サブ3ランナー
トップランナー、サブ3ランナーの場合、ネガティブスプリットで最もペースが速くなるのは30km過ぎです。
序盤から中盤はペーサーに合わせてペースをコントロール(体力を温存)して、ペーサーがいなくなる30km過ぎに一気にペースアップして後続を突き放します。
マラソンを何回も経験したことがあるランナーならわかると思いますが、ペーサーがいるのといないのでは、精神的にも体力的にも消耗が全然違います。ペーサーがいるからこそ成り立つ戦略でもあります。
市民ランナー(サブ4、サブ5)
サブ4やサブ5ランナーの場合、ネガディブスプリットで最もペースが速くなるのは20km~35km区間です。ここでピークを一番に持っていきます。
サブ4やサブ5を目指すランナーの場合、トップランナーとは違い脚力がありません。フルマラソンを走った場合、間違いなく35km過ぎからは苦しくなって脚ももたなくなります。
30km付近まで体力を温存しても、そこからペースアップを図る「脚力」がないので、結果ポジティブスプリットよりもタイムが遅くなる確率が高くなってしまいます。
そのため、まだ脚力が残っている20kmくらいからペースアップを図り25km~35km付近でピークをもってくる走り方が一番の理想です。
これが僕の考える「ネガティブスプリット」です。
ネガティブスプリットの導入方法
サブ4を目指すときのネガティブスプリットの導入方法をご紹介します。
前半は無理にペースを上げない
おそらくランナーの誰もが経験していることだと思いますが、日によって楽に走れるペースに違いがあると思いませんか?
軽く走っているつもりなのに自己ベストに近いペースで走れている日もあれば、頑張っても全然ペースが上がらない日がありませんか?
私が2年前に出場した第14回長野マラソンでは、ネガティブスプリットで走るつもりで前半と後半のペースを想定したのですが、練習では楽に入れた前半のペースに全然追いつくことができませんでした。そして無理して想定した前半ペースで走ったところ、後半さらに失速し、3時間45分切りを狙ったつもりが、3時間59分と大失敗に終わりました。
一方、昨年出場した第30回新潟マラソンでは、道の混雑に合わせて気ままに走っていたら、13km地点までのペースが想定よりはるかに遅い、6分/km。ですが、そこから30km地点まで一気にペースを押し上げることができ、結果ベストタイムの3時間39分。
つまり、単に前半抑えて後半ペースアップするのではなく、前半はその日の体調に合った無理しないペースで走ることが大事だと実感したんです。
そして楽に走れるペースがあまりにも遅い場合は、その日はベストコンディションから程遠い日であり、無理して自己ベスト更新を狙わない方がよいと考えています。
20km過ぎの補給を合図にペースアップ
サブ4を目指すランナーの場合、エネルギーバーや食べ物の補給は以下の3回が理想であると考えています。
- 1回目:13km過ぎ
- 2回目:23km過ぎ
- 3回目:33km過ぎ
上記の「2回目:23km過ぎの補給」を合図にペースアップします。もちろんその時の体力と相談してですが、前半無理なく心地よく走っていればここでペースアップできます。
前半のペースによりますが、ここでキロ5分10秒~5分20秒まで上げることができればかなりいい走りができていると言えるでしょう。
ちなみに、僕はフルマラソンの補給は全てエネルギーバーにしています。もともと胃腸が弱いので走りながら普通の食事が苦手だし、カフェイン入りのエネルギーバーは一時的な疲労回復(疲労をごまかす)効果があるからです。
サブ4を目指す場合、上記のようなネガティブスプリットを導入すると、一番スムーズに最大限ペースアップを図れるはずです。
ネガティブスプリットがフルマラソンに効果的な理由
ネガティブスプリットは距離の長いフルマラソンが最も効果を発揮します。
距離が長い
まずは何と言っても、距離の長さ。
前半抑えて走っても後半巻き返せるだけの距離があります。距離が長くなればなるほど1kmあたりのペースの影響が出てきますので、ネガティブスプリットがうまくハマれば絶大な効果を発揮します。
精神的負担の軽減効果
苦しく感じる距離の軽減効果が見込めます。
ポジティブスプリットで入り25kmくらいで苦しくなると、残りが15km以上もあり精神的にもキツくなるため「ペースを落とそう」という考えがよぎります。
ですが、ネガティブスプリットで、苦しくなる局面が残り10kmを切っていると「いつものランニングで走っている距離と同じじゃないか」と考えることができて、意外とペースを落とさず持続することができます。
この、残りの距離が精神的な部分に与える影響はかなり大きいです。終わりが近いと感じることができると、ペースを落ちることなく逆にペースアップできるときもあります。
ネガティブスプリットのまとめ
ネガティブスプリットについて、僕なりの考えをまとめました。
もちろん個人の合う合わないもあるし、もっと理想のペース配分があるかもしれません。
ですが僕はこの方法で、かなり楽にタイムを残すことができているので、実績のある一例としてぜひご参考にしてみてください。
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